天のり製本の様子
先日、天のり製本を行っていた時の風景。
まず、本の背側を断裁し、糊を塗って……
グラシン紙をぺたり。
さらにその上からもう一度糊を塗り、馴染ませていきます。
なぜ、このようなことをするのでしょうか?
それは、強度の為です。
ただ糊を縫っただけの天のり製本はメモなどによく使われる製本方法で、ぺりぺり剝がれて便利な代わりに、強度に乏しいという弱点もあります。しかも、今回はこちらで天のり製本したものを、後日別の会社で他の紙と合わせて無線綴じにするので、それまでにバラけたりしてほしくないわけです。
そこで、グラシン紙を一枚重ねることによって、製本の強度を上げて簡単にバラけないようにしたのです。
簡易的ではありますが、寒冷紗(本の背に貼って、背崩れを防ぎ耐久力を持たせる布)のような役割を果たしているわけですね。
ちなみに、グラシン紙はかつてブーブー紙とも呼ばれていました。
口に当てて息を吹くとブーブー鳴るからだそうです。
グラシン紙は、その薄さを生かして製本以外でも様々なところで利用されています。
わたしは古本屋さんでカバーとして使われているのを一番よく見かけますが、他にも中華まんの底紙や薬包紙などにも使われているようです。
目立たないけれどしっかりとみんなを支えてくれる、縁の下の力持ち的な存在ですね。